紀元前8000年代に初めて使用が確認されて以来、金属を使って作られた品は多岐に渡ります。
ポリマー(分子量が大きい化合物)や合成物が進歩している今日でも、金属は現代文明のあらゆる場面に浸透しています。
この記事では、
- 金属加工の年表
- 金属加工が発展した歴史
について解説しています。
好きな箇所から読んでみてください。

ぽん太
金属の歴史って気になるな〜!
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金属は人類の文明になくてはならないものでした

紀元前7000年頃のイラン西部やアナトリア東部では、銅など自然発生の金属をこすったり叩いたりして成形し、ピンなどの小物にしていました。
紀元前3800年頃から製錬が始まり、金属の用途は大幅に広がりました。
合金の登場
紀元前3000年頃、最初の合金である青銅が誕生します。
鈴と銅を坩堝(金属をとかすのに使うツボ)で溶解してつくる青銅は強度が増し、なおかつ加工が容易であります。
紀元前1250年頃に製鉄技術が発明されるまで長らく道具や武器の材料になっていました。
とはいえ、純粋な鉄を溶かす技術が確立されたのは19世紀のことです。
1856年、イギリスの技術者ヘンリー・ベッセマーがベッセマー転炉を発明してから、鋼の大量生産を行うことが可能になりました。
合金とは異なる金属、または金属と非金属(鉄と炭素など)を混ぜ合わせたものです。
自然界には、合金の状態になっている金属も多いですが、人工的な合金が作られるようになったのは紀元前3000年頃のことです。
銅と錫を溶かして青銅を作ったのが最初です。
この技術はすぐにメソポタミアや地中海全域に広まりました。
エジプトには紀元前2000年もしくはそれ以前に伝わったと記録されています。
金属加工の年表
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ここでは、金属加工がどのような歴史を辿ったのかについてわかるよう年表を記載しました。
記事の全体像の把握や、過程を一度に見ることができるので役立ててくださいね。

ぽん太
金属加工の年表
- 先史時代
- 銅鉱石の利用
- 紀元前2600年〜2400年
- 銅の打ち出し版
- 紀元前1500年〜1200年
- 青銅鋳造の発展
- 紀元前1500年〜1300年
- 金の精鍛
- 紀元前900頃〜紀元100年
- 鉄の登場
- 紀元前640年〜500年
- 通貨としての金属
- 100年〜700年
- アングロサクソンの金属加工
- 700年〜800年
- 鉄の鋳造
- 800年〜1300年 / 1450年
- 貴金属を使ったキリスト教の聖具
- 15世紀頃
- 鋳造金属で武器をつくる
- 1810年
- 錫缶
- 1856年
- ベッセマー転炉
- 1950年代
- チタンが飛行機に使用される
青鉱石の利用(先史時代)

先史時代にイラン西部とアナトリアでは、銅鉱石をこすったり叩いたりして成形し、ピーズなどの小物を作っていた。

鉄鉱石などが加熱すると、変形しやすくなる性質は焚き火に誤って金属の塊を落とした時に発見されたと言われています。
銅の打ち出し版(紀元前2600年〜2400年頃)

紀元前2600年〜2400年頃、銅精鍛の技法が先史時代と比べて洗練されました。
世界最古の民族を形成したシュメール人によって、より複雑な土器などを作ることが可能になります。
15世紀ヨーロッパで溶鉄炉(ようこうろ)が開発されるまで、これ(合金)が製鉄手法の主流でした。
その結果、まだ熱いうちに叩いて複雑な形を作れるようになりました。
装飾技術の発展(紀元前1500年〜1200年)

古代中国の殷(紀元前1500年〜1200年頃)では青銅器を鋳造するようになります。
単なる食事やお酒を飲むための器ではなく、宗教的な儀式にも使われました。
内側を叩いてくぼませるといった装飾技術が生まれました。
→ 甲骨文字(文字の歴史)については、文字の歴史をご紹介!アルファベット、印刷技術はいつから?にまとめています。
金の精鍛(紀元前1500年〜1300年)

古代エジプト人は、紀元前1500年頃から、銀から純金を分離する方法を知っていました。
そのため、この頃から装飾目的で幅広く使われ始めます。
鉄の登場(紀元前900頃〜紀元100年頃)
鉄加工技術はアナトリア西部(ヒッタイト帝国)で生まれました。
その技術は、紀元前900年頃にギリシアに、紀元前400年頃には西アフリカに伝わります。
そのため、より強い道具や武器が作られ鉄を操るものが近隣諸国を支配していきます。
まさに、古代の金属加工は国の強さそのものと密接に結びついていました。

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これまでは鉄の歴史の最古の記録として、ヒッタイト帝国が記録されていました。
しかし、2017年8月にトルコ・アナトリア地方紀元前2250〜前2500年にできた鉄製関連の遺物が出土しました。
引用: 鉄の歴史に一石、ヒッタイト起源に異説か 最古級の遺物(朝日新聞デジタル)
通貨としての金属(紀元前640年〜500年)
紀元前640年頃、リディア王国は世界で最初に金属貨幣を鋳造(ちょうぞう)しました(これは世界で最も古い硬貨の誕生という意味をしています)。
エレクトラム硬貨は、貨幣の重さで価値が決まっていたため効率的に経済が回る仕組みが整えられ始められました。
それまでは、牛や貝殻で物々交換を行っていたので、通貨で取引を行うことは便利なものでした。
→世界の貨幣の歴史をご紹介!紙幣はいつから発行された?(世界の貨幣や通貨の歴史はこちらで詳しく解説しています。)
アングロサクソンの金属加工(100年〜700年)

100年〜700年に、ブリテン島(現イギリス)に移動して、先住民族のケルト人を制圧しました部族です。
アングロサクソン人は、金属加工技術にさらに磨きをかけました。
装飾には動物のモチーフを好んで用いました。
8世紀に剣の製造が始まった(700年〜800年)

出典: ヴァイキングの超絶無敵の剣、「ウルフバート」の謎に迫る。伝説の鍛冶職人はドイツの修道士の可能性。
700年から800年頃のヨーロッパ(ヴァインキング時代)には、炭素を加えた鉄の層を重ねて鍛接したり、鉄の薄い板を叩くことで強い剣が作られていました。
ヴァインキング(ノルマン人の別名)はウルフバート(Ulfberht)と呼ばれる剣を使って、「海の覇者」とも呼ばれるくらい強さを誇りました。
この時代から、鉄の薄い板を叩いてから溶接するなどの方法で、より強い剣が作られるようになります。
貴金属を使ったキリスト教の聖具(800年〜1450年)

中世キリスト教は、十字架や聖遺物箱を金などの貴金属で作りました。
宝石を埋め込んで飾ることもありました。
15世紀頃、鋳造金属で武器に変化(15世紀頃)

15世紀頃に、鋳鉄が開発されます。
そのため、合金に変わる製鉄手法の歴史が約3000年を経て変わります。
それに伴って強固な鋳鉄は円筒方にすることもできるようになりました。
その後、大砲などの兵器にも利用されます。

ぽん太
武器として有名な大砲は、この時期から使われていたんだね!
ベッセマー転炉で鋼を大量生産することが可能になる(1856年)
1856年、イギリス人技術者ヘンリー・ベッセマーが発明した転炉で、鋼を大量生産することが可能になりました。
鋼を作るための労働力が減少して、産業革命時代にはありとあらゆるものに鋼が使用されました。
そのため、鉄道や巨大な大型船、鉄砲や戦車などを作ることができました。
まさに、金属加工の時代において大きな分岐点だと言うことができます。
チタンが航空機に使用される(1950年代)

重量比の強度が高いチタンが軍用飛行機などに幅広く使われるようになりました。
チタンの特徴の
- 軽い
- 錆びない
- 強度が強い
ことから航空産業や車に使われます。
金属加工に関する論文をご紹介!

鉄の登場に関する論文
ヨーロッパの貨幣史に関する論文
大砲の歴史についての論文
産業革命後の技術開発についての論文
まとめ

さいごに金属加工の歴史についてまとめました。
- 先史時代に、鉄鉱石などを加熱していた
- シュメール人によって、複雑な土器が作られるようになった
- 古代中国(殷)では、青銅器を鋳造する技術が発展した
- 紀元前900年頃に、鉄加工技術が生まれ武器や防具が作られた
- 世界最古の通貨は、リディア王国で作られた
- ヴァイキングは、ウルフバートと呼ばれる剣で「海の覇者」と恐れられた
- 15世紀に、合金に変わる製鉄手法が生まれた
- ベッセマー転炉で鋼を大量生産することが可能になる
- 高品質な金属であるチタンが飛行機などに使われるようになった
金属加工の歴史には、こんな出来事が起きて今に至るんだね!

ぽん太

maru
最後まで読んでいただきありがとうございます。